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TOP MESSAGE代表メッセージ

「利他主義」

自分の人生の中心にこの価値観を据えるきっかけとなった出来事があったのは、1991年、いまからもう30年以上前のことだ。

新卒として、不動産デベロッパーでマンション販売を担当していた僕は、モデルルームに来場されたある若いご夫婦の担当になった。僕が紹介した物件を大変気に入ってくれて、さっそく購入の手続きに入った。ところが購入の直前で住宅ローンの審査が通らず、お気に入りの物件を前にしながらご夫婦は購入を断念することになった。

目の前で大きく落胆するご夫婦の残念そうな様子を見て、「このご夫婦になんとか良い物件を探してあげたい、力になりたい」と思い立ち、自社だけでなく他社の物件情報をもかき集めてご紹介した。最終的に、ご夫婦は紹介した他社の物件を気に入り、審査も無事に通って購入が決まった。ご夫婦はとても喜んでいたが、当時の僕は上司からめちゃくちゃ怒られた。個室に呼びだされて、「他社の物件を薦めるなんてあり得ない、そんな時間があるなら別の見込み客のために時間を使え。自社の1銭の利益にもならないことをするな」と長時間怒られた。その時の僕はうつむき怒られながらも、心の中では「会社の利益にはならなかったが、ご夫婦にとっていいことをした」そう思っていた。

このエピソードには続きがある。ある日、僕が働いていたモデルルームに、そのご夫婦が菓子折りを持って訪ねてきた。高級そうな菓子の紙袋を受け取りながら、ご夫婦からかけて貰った言葉がその時の情景と共に今でも脳裏に焼き付いている。

「あなたがいなかったら私たちはこの物件を購入することができなかった。井上さんのおかげで、素晴らしい物件に出会えた。本当にありがとう」

微笑みながらも真剣な表情でそう自分に伝えてくれた。この言葉はもちろんのこと、わざわざ自分に直接伝えに来てくれたことも本当に嬉しかった。力になれて嬉しいという高揚感と、なんとも言えない幸福な気持ちをこの時に感じた。この出来事をきっかけに、これから先ずっと「誰かの心からの笑顔」をつくるために仕事をしよう、その時にそう決意した。

またこの時、不動産業界全体の大きな課題にも気がついた。プロとして業界に身を置いている自分でさえも、条件や希望に合う情報を集めるのにとても苦労した。「人生で初めて、かつ一生で最も高価な買い物」をする人にとっては、もっともっと不安や苦労があるはずだ、と。

この体験が原点となり、「誰もがたくさんの選択肢の中から自分にぴったりの住まいと出会える仕組みを創る」というビジョンが生まれ、その後、現金5万円しかない状態で起業をした。そこから、当時の日本において普及率がまだ1%しかなかった最先端テクノロジーのインターネットを使って、日本で初めての不動産ポータルサイトを立ち上げた。サービスを始めた当初、雑誌やチラシといった紙媒体が全盛の中で営業にいくと、「不動産の情報をインターネットなんかで調べる人はいない」と笑われた。それでもユーザーにとって便利で使いやすいものにしようとサービスを磨き続けていった。徐々に利用してくれるクライアントもユーザーも増えていった。利用する人が増えてくると、これまでは見向きもしていなかった競合他社もインターネットをつかったサービスに参入を始め、それぞれが競合よりもいいものを作ろうと切磋琢磨をしあっていった。「インターネットによる不動産・住宅情報サービス」という新しい市場が生まれた。その結果、ユーザーにとって以前とは比べ物にならないくらいたくさんの選択肢の中から自分に合う物件を探せるようになった。まだまだ業界の課題は山積みだけど、自分の行動で社会を変えることができる、そう確信をすることが出来た。

それからのLIFULLは、住まいだけでなく、自分らしく生きられる社会をつくるためにどんどん事業領域を広げ、ともにビジョン実現を目指す仲間が今では1,600人ほどになっている。

自分が外国籍で、住まい探しで苦労した経験から同じ様な苦労をさせたくないと考え、LGBTQや外国籍などの住宅弱者と呼ばれる人たちを支援するサービスを、新卒1年目から提案し続けて立ち上げた社員。誰もが不安なく老後が過ごせるように、介護施設探しから始めて、気づいたら遺品整理、買い物代行など、まさに不安に直面している人のためのサービスをどんどん立ち上げている社員たち。

社員一人ひとりが、あの時の僕と同じように、目の前の人の笑顔のために、日々前のめりに挑戦をしてくれている。

社会課題を利益を上げながら解決するソーシャルエンタープライズとして、日々様々な社会の不安や不自由と向き合っているが、その根っこにある想いは、困っている人を放っておけない、その困りごとが改善された理想の状態から逆算して、自らの行動でそれを実現していくということ。その気持ちは創業の頃から変わっていない。

まだまだやりたいことがたくさんあって、理想の状態からすると足りないこともたくさんあるけれど、これからもより多くの人々を笑顔にするために、志を同じくした「同志」たちと一緒に挑戦を続けていくと腹をくくっている。

あの時の、上司から怒られていた自分が、今の僕やLIFULLをみたら何て言うだろうか。「お前が信じて取った行動は間違っていない、どんどんやれ!」あの時の自分に、そう伝えたい。

自分以外の誰かのために本気で行動をしたことがある。そんな人と一緒に働きたい。その行動がうまくいったなら最高だけど、そんな簡単に解決できない課題が世の中にはたくさんある。一回チャレンジしたけどうまくいかなかった、でも、その困っている人のために何とかしてもう一度挑戦したい。

そんな誰かのために本気で行動できる人と一緒に社会をよくしていきたい、心からそう思っている。

LIFULL井上 高志

LEADER TALKリーダートーク

「主力事業」、「海外展開・新規事業創出」、「組織・文化づくり」、それぞれの責任者が語るビジョン実現に向けた戦略について。

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